馬の調教の中で『調馬索(ちょうばさく)』という言葉をご存知でしょうか?
調馬索運動は若馬やハミの先に行こうとする馬を調教するために、人が乗らずに調馬索というロープをつないで、人の周りを速歩や駈歩で運動するものです。
そんな『調馬索』ですが、「どうやってやるの?」、「馬の調教って乗るだけじゃないんだ!」と思う方のために、調馬索のつけ方、やり方や効果について解説していきたいと思います。
馬と仲良くなる調馬索のやり方とは!? ~調馬索のつけ方や回し方~
①調馬索の意味
調馬索は馬と仲良くなることに最大の意味があります。
ですから、慌てさせない⇒人に慣れさせる⇒リラックスさせることを大切にしながら、常歩・速歩・駈歩運動においての馬のバランスの自立を目指します。
調馬索でバランスを崩す馬は、正しく円を描けなかったり、急に速くなったり暴れたりしやすくなります。
人に安心をさせながら運動させることで良い効果を得られやすくなります。
また、角砂糖などのご褒美を持っておくことによって、安心感を与える手助けにもなります。
②調馬索のつけ方
・調馬索のつけ方
頭絡(トウラク)と馬の肢のプロテクターとワンコ(踏みかけ防止)、調馬索と追い鞭を用意します。回し手はヘルメットまたは帽子を着用し必ずグローブをつけます。
馬が暴れたり、急に走り出すこともありますので手のひらを摩擦でやけどしないようにグローブは必ず着用しましょう。
調馬索の時には頭絡につけるハミは太いものの方が口当たりが優しく好ましいです。
調馬索のロープ自体はハミのリングに装着しますが、頭絡のみで補助道具をつけない場合には回すときの内側のハミのリングの間に外側から調馬索を通し、馬のうなじの上に調馬索を通して外側のハミのリングに調馬索のナスカンをつなぎます。
サイドレーンなどの補助道具を装着する際には、内側のハミのリングに直接調馬索のナスカンをつなぎます。
※踏みかけとは馬が肢で他の自分の肢を踏んで怪我をすること
・サイドレーンのつけ方と効果
サイドレーンは調馬索を行う際の補助道具です。
若馬の初期のサイドレーンの長さは、洗い場で馬が立っている首の長さからマイナス10㎝くらいが良いと思います。最初からきついサイドレーンは馬が立ち上がったり、尻もちをついたりし、怪我の原因にもなります。調教が進むにつれて徐々に5㎝ずつ短くすることと、サイドレーンのうわはら(腹帯)につける位置を高くすることで、馬が起きた状態で顎を譲れるようになります。
サイドレーンの効果は、馬がハミの先にこえないように、または突っ張って頭を上げてしまう馬に対して口をゆずった方がラクだよというのを教える効果があります。
また、サイドレーンのような補助道具でシャンポンというものがあります。
シャンポンは馬の頭を前下方に下げる効果があり、背中を伸ばしてリラックスを覚えさせる効果があります。
あまりやりすぎると馬が前にのめりやすくなってしまうので、やりすぎに注意が必要です。
馬によって補助道具をつけないで回す、サイドレーン・シャンポンなどの道具をつけてまわすのは、馬の状態や運動の意図によって使い分けが必要です。
③調馬索の回し方・やり方
円形に囲われた馬場で行うのがベストです。
サイドレーンなどの調教道具を用いる場合は腹帯やサイドレーンのベルトはバックルに装着したら、あまりのベルト革を入れる部分には通さず、ブラブラにしておいた方が良いと私は考えます。
なぜかというと、調馬索を回すときに馬が転んでしまったりなどのアクシデントが起きた時に、サイドレーンをつけていると馬は自力で立ち上がれません。
その時にすぐバックルを外して馬を助けてあげられる様に、余ったベルト革はだらだらにしておくと良いです。
調馬索を左回りで運動するときには、右手で調馬索をまとめて持ち、左手は馬のハミからつながった調馬索のロープを手綱を持つように握ります。
追い鞭は右手の持ち準備完了です。
それでは回し方に移ります。
【左手前(左回り)の場合で解説】
1.馬場の真ん中についたら、右手で馬を曳いて左回りで歩かせます。(このとき追い鞭は左手に持つか、馬場の中央に置いておきます。)
2.回してはゆっくり馬から離れる様に馬場の中央に移動し、馬を舌鼓(ゼッコ)や追い鞭を見せて馬を外ラチ沿いを歩かせます。
3.ここで、勝手に速歩をしてしまう馬はあまり気にせず落ち着くまで走らせてしまってょうが良いです。(やむ負えず駈歩になってしまうときは低い声で「ホ~」と声をかけて落ち着かせます。このとき調馬索を引っ張ると転んでしまうので注意します)
4.人間の周りを同じペースと同じ円の大きさで歩けるまたは走れるように、ゼッコや追い鞭(馬を前に進ませるまたは外ラチ沿いに出す)、調馬索を握る(ブレーキ)などを使って調整していきます。
ここで重要なのは馬のフットワークとリズムが一定になるようすることです。
※ゼッコの使い方はコチラ☟
5.調馬索で常歩→速歩→駈歩に移行させる時にはゼッコまたは追い鞭を馬の飛節に向かって使います。逆にペースを落とす、下方移行(矢印とは反対の移行)を行うときは「ホ~」と低い声をかけます。
6.回している際には、できるだけ同じ運動が長くならないように移行を多く入れてあげる効果的です。また、馬の内方の後ろ肢は内方の前肢よりも内側に着地する事がない様に、ゼッコや追い鞭で内側からプレッシャーをかけることで解消できます。
※馬の内方の後ろ肢がお腹の真下に着地することで、馬の飛節やトモの筋肉のストレッチになり柔軟性が良くなります。(ショルダーフォア(半分肩内)の形を調馬索でも行えるとベターです。)
7.最後調馬索を終えるときには、「ホ~」と低い声を出し駈歩→速歩→常歩→停止の順で一つずつ下方移行し、馬が回し手の方に勝手に寄ってこないで停止できるのがベストです。
馬に回してから近づき、手前を換えて調馬索を行う場合は付け替えて、終了の場合は角砂糖をあげて頸をポンポンと叩いて愛撫しほめてから終わりましょう。
馬とのより良い関係が作れるはずです。
〖まとめ〗
①調馬索の意味
⇒
調馬索は馬と仲良くなることに最大の意味があります。
また、常歩・速歩・駈歩運動においての馬のバランスの自立を目指します。
②調馬索のつけ方
⇒
・調馬索のつけ方
調馬索のロープ自体はハミのリングに装着しますが、頭絡のみで補助道具をつけない場合には回すときの内側のハミのリングの間に外側から調馬索を通し、馬のうなじの上に調馬索を通して外側のハミのリングに調馬索のナスカンをつなぎます。
・サイドレーンの効果
サイドレーンの効果は、馬がハミの先にこえないように、または突っ張って頭を上げてしまう馬に対して口をゆずった方がラクだよというのを教える
③調馬索の回し方・やり方
⇒
・調馬索の持ち方
調馬索を左回りで運動するときには、右手で調馬索をまとめて持ち、左手は馬のハミからつながった調馬索のロープを手綱を持つように握ります。
追い鞭は右手の持ちます。
・調馬索の回し方
人間の周りを同じペースと同じ円の大きさで歩けるまたは走れるように、ゼッコや追い鞭(馬を前に進ませるまたは外ラチ沿いに出す)、調馬索を握る(ブレーキ)などを使って調整していきます。
ここで重要なのは馬のフットワークとリズムが一定になるようすることです。
今回は以上です。
あまり馴染みのない『調馬索』についてなので、かなり有益な情報だと思います。
馴染みがないのもあまり馬術書に載っていないので当然のことです。
新馬の調教や馬の調教に興味がある方はいずれやるときのために予習しておくと良いと思います。
調馬索のやり方も人によって様々ですが、私なりに一番オーソドックスなやり方を書いたつもりなので、ぜひ知識として持っておいていただけると良いと思います。
最後に調馬索に使った道具の画像を貼っておきますので、詳細を見たい方は画像をクリックしてみてください!!
最後まで読んでいただきありがとうございました!!
wagi
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