馬は肢(あし)が命である理由 ~予後不良・安楽死の境目~

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馬は肢が命というのはご存知の方も多いかと思います。

そういわれる由縁は、肢が細くて怪我しやすいというのではなく、蹄(ひづめ)がとても重要な役割を示しています。

蹄無くして馬は語れないくらい、馬の体で一番重要な部分です。

今回はなぜ蹄が大事なのかを紐解いていきたいと思います。

蹄について

①馬の蹄とは

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馬は草食動物であり、肉食動物から逃げるために速く走らなければいけません。

速く走る為には単純に単一時間でピッチ(歩数)を増やし、そのストライド(歩幅)を広くすればよいのです。

そのため馬は肢をスパイクの様にするために、つま先立ちの様なスタイルを選び蹄というものが発達・進化しました。

蹄は人間でいう爪なので、ずっと厩舎(馬小屋)にいると湿気でふやけてしまい、命にかかわるような蹄の病気を引き起こしやすくなってしまいます。

ですから、乗馬クラブの馬はお客さんに乗っていただいて運動することで厩舎から出ることができ、蹄の健康や運動によってストレス発散にもつながります。

競馬の馬であれば調教やレースに当たると思いますが、過度な緊張もあったり輸送で体重も減る為、放牧してケアを行っています。もちろん乗馬クラブの馬たちも放牧をしたり、調馬索という紐をつないで背中に何も乗せずに人の周りを円状に走る運動をしたりもします。

②蹄の重要な機能『蹄機作用』

肢(蹄)が地面に着くと蹄が横に広がり、地面から離れるときに蹄が元に戻ります。その際に、蹄がポンプのような役割をして血液を体に循環させます。

この作用を『蹄機作用』と呼びます。馬は個体差はありますが、体重が500㎏くらいあり、その巨体に血を巡らせるためには心臓だけでは非効率なのです。よって蹄が心臓のような役割も担うため蹄は『第2の心臓』と言われています。

もう察しが付くと思いますが、骨折をしたりして歩けなくなると骨が治らないのではなく、血液が循環できなくなり生命維持ができなくなってしまうのです。

どんなに走るのが速かったり、ジャンプする能力が高くても蹄の健康無くしては、十分な能力を引き出せてあげることができません。ですから健康で丈夫な蹄を作ることはホースマンであれば必ず重要視する部分なので、ぜひ覚えていただけると嬉しいです。

③『予後不良』(安楽死)の境目

できればこの判断はしたくはありませんが、いきものと付き合っていると遭遇する場面に直面することがあります。どの関係者もオーナーも簡単に決断はできないですが、一つ明確な判断基準があります。

それは骨折してもうレースに走れないからではなく、3本肢でもケンケンするように足踏みができるかどうかです。それは先に話した『蹄機作用』が機能できるかという事に繋がるわけです。

私が知っている中でも、肢を痛めても治療して復活し馬術の競技で再活躍できたり、乗馬クラブ内でレッスン復帰してる馬も数え切れないほど見てきました。

こういった経験を体感でき、馬の根性や力強さを感じさせられました。

また、絶対に諦めてはいけないということも馬たちから教えていただきました。

④装蹄(馬の靴を履かせる)

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装蹄

装蹄とは蹄鉄を馬に装着し、馬の肢への負担や起こりうる怪我のリスクを減らす役割があります。また、蹄を切って整えたり、蹄鉄をその馬の肢に合うように変形させたり、馬に合わせて特殊な装蹄(蹄鉄にバーをつぎ足す、釘を使わず接着剤で行うなど)を施したりもします。

この様な蹄鉄(馬の靴)を作ったり、装着(履かせる)させるプロフェッショナルを装蹄師と言い、競馬・乗馬など馬と共存するためには必要不可欠な職業です。

ある意味馬のお医者さんのような存在で、凄腕の装蹄師さんが手を加えるとハコウ(走り方が良くない)をしている馬が一瞬で治ったり、肢の怪我の回復が異常に早くなったりします。その馬ごとの蹄の形やバランスを見て蹄鉄でそれを補って、健康的な生活を行えるように日々活躍されている方もいらっしゃいます。

蹄鉄は基本乗馬の馬は鉄を使うことが多いですが、競馬の馬ではアルミを使うことがほとんどだと思います。速く走ったり疲労しにくくするためには軽量化しないといけないませ。カーエアコンの熱交換器にはアルミが使われますが、家庭用エアコンや冷蔵庫の熱交換器には銅が使用されるように、使われる金属は適したものを使用する必要があります。

⑤ホースマン(馬に携わる方)の思い

ホースマンなら誰しも不幸な馬を増やそうなどと思っている方はいないと思います。人間も人間で生まれることを選択できたわけではないですし、犬も猫も馬も選択できたわけではありません。

ただその人生の中でいかに幸せになれるか、幸せにさせるための最善の選択ができるかどうかを常に考えているはずです。

馬の幸せの事を常に考えているのがホースマンであり、私も今は馬の業界から離れてしまいましたが、本当に尊敬できる方々です。

馬として生を授かった以上、その馬の物質的な成果より他のどの馬よりも幸せな馬だったと思わせるようなケアであったり、見えない部分の努力があります。徹夜で馬の治療をすることもあります。

どうかホースマンの方々がビジネスとして馬を見ているわけではなく、愛を持って彼らの最高の人生を願って、日々仕事をしていることを知っていていただけたらと思います。

今回は馬の肢・蹄についてをメインで書かせていただきました。馬にとって運動や走ることは精神的(ストレス発散)にも肉体的(肢のむくみ改善など)にも必要であり、生命維持のための肢と蹄の重要性がご理解いただけたとか思います。

馬の知識・業界を知っていただける方が増えることで、幸せな馬・生まれて良かったと思う馬が増えると思います。

今、私が馬に恩返し出来る事は、私の経験を多くの方々に共有し、馬の事を知ってもらうことだと思っています。また、他の記事も読んでいただけたら嬉しく思います。

最後まで読んでいただきありがとうございました!!

wagi

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